正義病 III ── 統治の座から
part1 で「正義病」を経て寛解した資材審査員は、part2 で経営の座に就いた。part3 のいま、その人物は組織の統治全体を統括する座にいる。資材審査という一機能を遠く離れ、最上段から組織を一個の生き物として見渡したとき、審査員にも経営者にも見えなかった層が立ち上がる。規範の下流にある文化、人を動かすインセンティブの配線、取締役会の死角、建前と実態の谷、内部通報という鏡、組織のメタ認知。そして、白黒で裁いていたかつての自分が、システム全体の中に見えてくる。続編・全 10 回。
01
着任 ── 統治の座から見えた景色
辞令を受け取った朝、私は窓のない会議室にいた。
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02
ルールは結果にすぎない ── 規範の下流にある文化
かつて私は、ルールを世界の始点だと思っていた。
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03
配線図 ── インセンティブが行動を決める
壁に貼られた規範の文章を、人は読まない。
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04
取締役会の死角
高い場所からは、よく見える。
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05
建前と実態のあいだの谷
本社一階のロビーに、理念を刻んだ石碑がある。
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06
「違反を探す」をやめる ── 判断が育つ条件を設計する
監査の数字が良くなっていた。
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07
内部通報という鏡
四半期ごとに、一枚の数字が私の机に届く。
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08
組織のメタ認知 ── 会社が自分を見る
病が寛解したとき、私は一つの能力を取り戻したのだと思っていた。
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09
かつての自分が、いま見える
その資料を、私はもう一度だけ机に出した。
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10
統治者の日々是好日
朝、誰よりも早く着いた会議室で、私はまだ灯りをつけない。
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