Q&A 第1集 通読版(全38問)

このページはQ&A第1集(その1)の全38問を1ページで通読できる形にまとめたものです。各問の個票ページへのリンクは各問末尾に掲載しています。

Q1 GCP・GPSP・GVPに基づく情報提供は適用範囲外か

第1 2 適用範囲等(1)

Q(質問)

GCP、GPSP、GVPに基づく情報提供活動は、本ガイドラインの適用範囲外と考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

本ガイドラインの対象は「販売情報提供活動」であり、これらの法令に基づく情報提供活動は適用範囲外と考えて差し支えない。

なお、御指摘の情報提供活動は、関係法令をそれぞれ遵守して行うべきことについて、十分留意願いたい。

So what(意味すること): GCP(治験)、GPSP(製造販売後調査)、GVP(安全管理)に基づく法定業務として行う情報提供は販提Gの規制対象外となる。ただし各法令自体の遵守は当然求められる。

So why(なぜそう定めるか): 販提Gは「販売促進を期待して行う活動」を規制するものであり、法令義務として実施する情報提供は販売目的とは性格が異なるため、対象外と整理された。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

GCP・GPSP・GVPはいずれも薬機法体系の下で製造販売業者に義務付けられた法定手続であり、治験の安全性情報の伝達、使用成績調査の実施・報告、副作用情報の収集と規制当局への報告といった行為がその典型である。これらは「販売促進を期待して」行われる活動ではなく、法令上の義務として実施されるため、販提Gの規制射程である「販売情報提供活動」には含まれないと整理された。

実務上の典型場面として、GVPに基づく安全性定期報告の一環として医療機関に副作用情報を提供する場合や、GPSPに基づく特定使用成績調査の説明を担当医師に行う場合が挙げられる。こうした場面では販提Gは適用されないが、GVP省令やGPSP省令自体の遵守要件は引き続き満たす必要がある点に注意が必要である。

誤りやすい境界線は、法令に基づく情報提供の「体裁」をとりながら内容が実質的に自社品の有効性・優位性を訴求するものになっているケースである。例えば、GVP上の安全性情報伝達の機会に自社品の有利な試験成績をあわせて紹介するような場合、その追加的な情報提供部分は販提Gの対象となりうる。法令根拠の存在は、活動の実態として販売促進性がないことの証明とはならない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q1

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Q2 「販売促進を期待して」は顧客誘引性と同義か

第1 2 適用範囲等(2)

Q(質問)

「販売情報提供活動」の定義で記された「その販売促進を期待して」とは、広告該当性の三要件にある顧客誘引性(「顧客の購入意欲を昂進させる意図が明確であること」)と同義と考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

本ガイドラインは、明確な虚偽誇大とまではいえないものの不適正使用や誤使用を助長すると考えられる行為など、広告該当性を判断することが難しい広告又は広告類似行為も対象に、現状を改善するために策定したものである。

このため、広告類似行為も対象とするものとして、「その販売促進を期待して」は、顧客誘引性を包含するものであり、両者は必ずしも同義ではない。

So what(意味すること): 「販売促進を期待して」は顧客誘引性よりも広い概念であり、広告三要件を満たさない広告類似行為も販提Gの対象に入る。自社に有利な情報を選択的に提供するだけでも該当しうる。

So why(なぜそう定めるか): 薬機法上の広告規制が及ばない「グレーゾーン」の活動が不適正使用を助長している実態を是正するため、規制範囲をより広く設定する趣旨で策定された。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

薬機法における広告規制は、①顧客誘引性(購入意欲を昂進させる意図が明確)、②特定性(特定の商品名・製品が特定できる)、③認知性(一般人が認知できる状態での伝達)という三要件を全て満たす行為に適用される。販提Gはこの三要件を満たさない「広告類似行為」、とりわけ三要件のうち一つないし二つを欠くために薬機法の広告規制が直接及ばないグレーゾーンの活動まで対象を広げた点が核心的な特徴である。

典型的な適用場面としては、特定の疾患領域に関する「教育的」なセミナーを製薬企業が提供しつつ、その内容が自社品の臨床的位置づけを強調するものになっている場合が挙げられる。商品名を前面に出さず疾患情報や治療方針の解説を中心としているため広告三要件を満たさないとされる場合でも、販促効果を期待した活動であれば販提Gの規制対象となる。

実務で誤りやすいのは「広告に該当しないので規制されない」という二項対立的な思考である。「販売促進を期待して」という文言は、顧客誘引性よりも広い概念として明確化されており、購入意欲を直接昂進させる意図が明確でない活動も包含する。資材や情報提供の形式・内容が販売促進効果を生み出すかどうかという実質で判断されるため、広告非該当の確認だけでは販提Gへの適合を担保できない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q2

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Q3 臨床開発部門の承認申請準備情報伝達は適用外か

第1 2 適用範囲等(2)

Q(質問)

「販売情報提供活動」の定義について、例えば、医薬品製造販売業者内の臨床開発に携わる組織が、承認申請や適用拡大の準備等に係る情報の伝達を行う場合は、本ガイドラインの適用範囲外と考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

「販売情報提供活動」の該当性は、実際になされた活動により個別に評価・判断されるものであるから、単に、組織や目的の形式的な判断のみで、本ガイドラインの適用から除外されるわけではない。

So what(意味すること): 臨床開発部門という組織名や「承認申請準備」という名目だけでは適用除外にならない。実際に行った活動の内容を個別に評価して該当性を判断する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 名目上の目的や部門名で免除を認めると、規制の抜け穴として悪用されるおそれがあるため、活動の実態を基準とする原則が採られている。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

このQ&Aが想定する問題意識は、製薬企業内の組織名称や公式の活動目的を利用して販提Gの射程外に出ようとする動きへの対応である。臨床開発部門は製品の承認取得を担う機能を持つが、承認申請の準備段階であっても、情報の受け手側に特定製品への関心を醸成する効果をもたらす活動は販売情報提供活動に当たりうる。

具体的な場面として、承認申請前の段階で臨床開発担当者が医師に試験の速報値や開発状況を紹介するケースがある。目的は申請準備のための意見収集と整理されていても、情報を受けた医師が将来の処方を念頭に置いて聴講する場合、その活動の実態は販促効果を持つ可能性がある。

誤りやすい境界線は、「将来の製品だから現段階では販促活動ではない」という論理である。承認前の段階でも、情報提供が販促効果を期待した活動として実質的に機能していれば販提Gの対象となりうる。組織や目的の形式的な定義を根拠とした適用除外の主張は認められず、活動の内容・態様・受け手への影響を個別に評価することが求められる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q3

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Q4 社内規則でMAやMSLを販促から切り離せば適用外か

第1 2 適用範囲等(2)

Q(質問)

メディカルアフェアーズ部門やメディカル・サイエンス・リエゾンの活動について、「販売情報提供活動」とは明確に切り離すことを自社の規則で規定している場合、メディカルアフェアーズ部門やメディカル・サイエンス・リエゾンの活動は、本ガイドラインの適用範囲外と考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

「販売情報提供活動」の該当性は、実際になされた活動により個別に評価・判断されるものであるから、「販売情報提供活動」とは明確に切り離すことを社内規則で規定していることをもって、本ガイドラインの適用から除外されるわけではない。

So what(意味すること): 社内規則でMAやMSLを「販促と切り離す」と定めても、それだけでは適用除外にならない。実際の活動内容が販売情報提供活動に該当すれば販提Gが適用される。

So why(なぜそう定めるか): Q3と同様に、書面上の規定ではなく活動の実態で判断する原則が一貫して適用されており、社内規則による形式的な切り離しは規制回避の手段とは認められない。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

メディカルアフェアーズ(MA)やメディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)という機能はグローバル製薬企業を中心に定着しており、科学的交流(Scientific Exchange)の担い手として、営業部門とは独立した役割を持つとされている。社内規則でこの独立性を明示する例も多い。しかし販提Gは、こうした制度的・書面上の切り離しをもって実態面の評価を免除するものではないと明確にした。

典型場面として、MSLが医師に自社品の最新の学術論文やリアルワールドデータの解析結果を紹介するウェビナーを開催する場合がある。内容が科学的文脈で提示されていても、情報の大半が自社品の有効性・有用性を示すデータに集中していれば、活動の実態は販売情報提供活動として判断される可能性がある。

実務で誤りやすいのは、「MAは科学的交流専門であり販促ではない」という部門アイデンティティへの過度な依拠である。規則上の定義と実際の活動内容が乖離している場合、規則は防御手段にならない。社内規則の存在は、個々の活動を正確に設計・審査・記録することの代替にはならず、MAやMSLの活動も資材審査の対象とすることが望ましい。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q4

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Q5 適正広告基準に従った疾患啓発活動は適用範囲外か

第1 2 適用範囲等(2)

Q(質問)

「疾患を啓発(一般人を対象とするものを含む。)することも含まれる」とあるが、一般人に対して、広告の三要件に該当せず、適正広告基準に従って行う疾患啓発活動は、本ガイドラインの適用範囲外と考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

疾患啓発を装って投薬治療をことさらに推奨するなどのおそれもあり、2の(2)で明記しているとおり、本ガイドラインの対象としている。

So what(意味すること): 一般向け疾患啓発活動は広告三要件を満たさない場合でも販提Gの対象となる。「疾患啓発」の名目で投薬治療を殊更に推奨する行為が想定されているため、適正広告基準への準拠だけでは免除されない。

So why(なぜそう定めるか): 疾患啓発は本来有用な活動だが、製薬企業が実施する場合は自社製品の需要喚起につながるリスクがあり、広告三要件を外れたとしても販促効果を期待した行為として規制対象とされた。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

疾患啓発活動(Disease Awareness Campaign)は、患者の早期受診・早期診断を促すことで公衆衛生上の便益をもたらす面がある。しかし製薬企業が特定の疾患領域に絞って疾患啓発を実施する場合、その疾患に対応した自社品の処方機会を増やすことへの期待が背景にあることは否定しにくい。適正広告基準への準拠という形式的な要件を満たしていても、販促効果を期待した活動としての実態は排除されないため、販提Gの対象とされた。

典型的な場面として、ある慢性疾患に関するスクリーニング検査の受検を一般向けに呼びかけるキャンペーンを製薬企業が資金提供・主導して実施するケースがある。表面上は早期発見・早期治療の推進であっても、診断確定後の治療選択において自社品が選ばれることを期待した活動として位置づけられる。

誤りやすい点は、「一般人向けだから規制対象は医療関係者への情報提供とは別建て」という理解である。販提Gは「一般人を対象とするものを含む」と明記しており、対象が医療関係者か一般人かを問わない。また「疾患啓発」という名目を前面に出しつつ投薬治療をことさらに推奨する内容になっていないかどうかを、資材設計の段階から確認する必要がある。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q5

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Q6 業務委託契約を結んだ医薬関係者への情報提供は適用外か

第1 2 適用範囲等(2)

Q(質問)

アドバイザリー契約等の業務委託契約を締結している医薬関係者に対する情報提供は、本ガイドラインの適用範囲外と考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

「販売情報提供活動」の該当性は、実際になされた活動により個別に評価・判断されるものであるから、医薬関係者と業務委託契約を締結していることをもって、本ガイドラインの適用から除外されるわけではない。

So what(意味すること): アドバイザリー契約や業務委託契約を結んでいる医師等への情報提供であっても、活動の実態が販売情報提供活動に該当すれば販提Gが適用される。契約関係は適用除外の根拠にならない。

So why(なぜそう定めるか): 契約関係を利用して規制対象外の「社外協力者」への情報提供という形を取ることで規制を迂回するリスクを防ぐため、実態主義の原則が一貫して適用される。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

アドバイザリーボードや外部専門家委員会、研究顧問契約といった形式で医薬関係者と業務委託関係を結ぶ慣行は業界に広く存在する。このような契約は、本来は企業が科学的助言を外部から得るために設けられるものだが、こうした契約関係の相手方への情報提供を「社外業務委託先への共有」として販提Gの適用対象外に置こうとする解釈は否定された。

典型場面として、アドバイザリー契約を締結した医師のグループに対して、自社品の新たな適応に関する臨床データを「プレビュー」として提供し意見を求める場合がある。形式上は意見収集・助言取得であっても、情報の内容が自社品の評価に有利なデータの提示に終始している場合は実態が販売情報提供活動に当たる。

契約関係が適用除外の根拠にならない理由の核心は、Q3・Q4と共通する「実態主義」の原則にある。契約を通じて医師を「非顧客」に位置づけることで規制を回避しようとする動きへの対応として、いずれの関係性を問わず活動の内容・目的・態様から個別に評価される。アドバイザリー活動を行う医薬関係者への情報提供も、通常の資材審査を経ることが望ましい。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q6

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Q7 製薬企業主催イベントでの外部専門家の講演は対象か

第1 2 適用範囲等(3)

Q(質問)

「その提供方法、媒体を問わない」とあるが、医薬品製造販売業者が主催するイベントにおいて、その依頼を受けた者が講演をする形で行われる情報提供活動は、本ガイドラインの対象になるか。

A(厚生労働省の回答)

外部専門家(医療関係者など)による講演であっても、イベント等の趣旨及び目的から2の(2)に記載の「販売情報提供活動」の要件を満たす場合は、本ガイドラインの対象となる。

So what(意味すること): 製薬企業が主催するイベントで医師等の外部専門家が講演する形式でも、イベント自体が販売促進を目的としていれば販提Gが適用される。講演者が社外であることは適用除外の根拠にならない。

So why(なぜそう定めるか): 外部専門家を前面に立てることで「中立的な情報提供」に見せかける手法が広告類似行為として問題視されており、媒体・形式を問わず実態で判断する規定が設けられた。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

製薬企業が費用を負担し医師等の外部専門家に講演を依頼する形式は、プロモーション活動の中でも広く用いられてきた。医師が自身の経験や判断に基づいて話すことで、製薬企業が直接提示するプロモーション資材とは異なる説得力を持つとされてきた。しかし販提Gは「提供方法・媒体を問わない」と明記しており、このような間接的な形式も活動の趣旨・目的から判断されることが確認された。

典型的な場面として、製薬企業が主催する医師向け研究会において、謝金を受けた医師が自社品の有効性を支持する試験成績を中心に紹介する講演を行うケースがある。講演内容の選定・演題の設定・スライドの確認等に製薬企業が関与している場合、外部専門家の講演という形式をとっていても実態はイベント全体が販売情報提供活動に当たる。

誤りやすい点は、「講演者は医師本人であり企業の資材ではない」という整理による免除の試みである。適用範囲の判断基準はイベント等の「趣旨及び目的」にあるため、誰が情報を発信するかではなくそのイベントが何を目的として開催されているかが問われる。従って講演会開催にあたっては、テーマ設定から講演内容の確認に至るプロセス全体が資材審査と同等の視点で管理される必要がある。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q7

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Q8 営業部門以外の従業員による活動にも適用されるか

第1 2 適用範囲等(4)

Q(質問)

「本ガイドラインは・・・(中略)・・・名称や部門にかかわらず、医薬品製造販売業者が雇用する全ての者等に適用される」とされていることから、営業部門以外の者が販売情報提供活動を行う場合にも適用されるという理解でよいか。

A(厚生労働省の回答)

本ガイドラインの対象は「販売情報提供活動」であることから、その理解で差し支えない。

So what(意味すること): 職種や部門を問わず、製薬企業に雇用される全員が販売情報提供活動を行えば販提Gの対象となる。研究、開発、学術などの部門も例外ではない。

So why(なぜそう定めるか): 規制の実効性を確保するため、組織上の肩書きではなく「行為の性質」で適用範囲を定めており、どの部門の従業員が行うかは無関係とされた。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

製薬企業において医師等への情報提供を行うのはMRや営業担当者に限らない。医薬情報部門のスタッフ、学術担当者、メディカル担当者、さらには規制部門や開発部門の担当者が医療機関を訪問・接触して情報を伝える場面も実務上存在する。こうした各接点に対しても販提Gが一律に適用されることを明確にした点がこのQ&Aの意義である。

具体的な場面として、医薬品情報担当(DI担当)が医師からの問い合わせに応じる際に、承認範囲外の使用法に関するデータを自社品に有利な形で解説するケースや、開発担当者が学会の場で医師と情報交換しながら自社品の試験成績を紹介するケースが考えられる。いずれも担当者の所属部門に関係なく販提Gの対象となりうる。

実務上の対応として、営業部門のみを対象とした教育・研修では販提Gへの対応が不完全になる。「販売情報提供活動を行いうる全部門」を対象としたコンプライアンス教育の設計と、営業部門以外の者が行う情報提供にも資材審査の枠組みを適用する社内体制の整備が求められる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q8

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Q9 審査報告書を出典とすれば承認範囲外の情報提供が可能か

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

①において、「提供する医療用医薬品の効能・効果、用法・用量等の情報は承認された範囲内のものであること」とされているが、③にある「承認審査に用いられた評価資料や審査報告書」を出典とする情報であれば、承認された範囲外となる情報の提供は可能との理解でよいか。

A(厚生労働省の回答)

承認審査や再審査において評価された試験成績や、添付文書改訂時に評価された試験成績、自社製品の安全性に関する注意喚起を目的として情報提供する必要がある試験成績は提供可能である。

So what(意味すること): 審査報告書を出典とすれば承認外の有効性情報を自由に提供できるわけではない。提供できるのは、承認審査・再審査で評価された試験成績か、安全性注意喚起に必要な試験成績に限られる。

So why(なぜそう定めるか): ③の「審査報告書」は科学的根拠の出典要件(客観的評価・検証が可能であること)を示す例示であり、承認範囲外の有効性情報を提供する根拠にはならないとの整理がされている。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

ガイドラインの原則①(承認された範囲内の情報提供)と原則③(科学的根拠の出典要件)はそれぞれ独立した要件である。③の「承認審査に用いられた評価資料や審査報告書」は、情報の科学的根拠が客観的評価・検証に耐えうることを示す例示であって、①の制限を解除する免除規定ではない。この二つを混同して「審査報告書が出典であれば承認外でも提供できる」と解釈することは許されない。

具体的な誤用場面として、承認審査の過程で参照されたが最終的に承認には至らなかった用量域や投与期間に関するデータを、「審査で評価された資料」として提示するケースがある。審査報告書に記載されているデータでも、承認された効能・効果・用法・用量の範囲外の情報として有効性を訴求することは禁じられる。

許容される例外は回答が明示している通り、①承認審査・再審査で評価された試験成績、②添付文書改訂時に評価された試験成績、③自社品の安全性注意喚起に必要な試験成績の三つに限定される。③は注意喚起目的であり有効性推奨ではない点が重要で、「承認外でも問題がなかった」という内容の提供は③に該当しない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q9

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Q10 承認範囲内という制限は自社品のみに適用されるか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

①において、「提供する医療用医薬品の効能・効果、用法・用量の情報は承認された範囲内のものであること」とされているが、この限定がかかるのは自社医薬品に限るとの理解でよいか。

A(厚生労働省の回答)

その理解で差し支えない。なお、自社医薬品の比較試験等のデータを用いる場合において、当該試験における対照薬、併用薬、前治療薬、参照薬等である他社医薬品の承認外の使用を推奨することは認められない。

So what(意味すること): 承認範囲内という制限は自社製品の情報に適用される。ただし比較試験データを使う際に、対照薬等の他社品について承認外の使い方を推奨することは別途禁止される点に注意が必要。

So why(なぜそう定めるか): 自社品以外の用法・用量まで規制すると情報提供の実務が過度に制約されるが、比較試験の文脈で競合他社品の適応外使用を推奨することは患者安全上問題があるため、個別に禁止事項として明記された。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

自社品の承認外情報を提供することの禁止は理解されやすいが、他社品の情報を含む比較試験データを用いる場面での取り扱いはより複雑である。このQ&Aは「自社品の承認範囲という制限は他社品には原則適用されない」と確認しつつ、比較試験の文脈で他社品の承認外使用を推奨することを別途禁止することで、実務上の誤用を防ぐ二段構えの整理を行っている。

具体的な場面として、自社品と対照薬との比較試験において、対照薬がその承認用量を超えた高用量で使用されていたデータを引用する場合がある。対照薬の高用量使用に言及すること自体は避けられないとしても、「この用量でもXX社品は問題ない」等と他社品の承認外使用を肯定的に評価するような文脈で提示することは認められない。

実務上注意すべきは、比較試験において対照薬・参照薬・前治療薬として登場する他社品の用法・用量が日本の承認外である場合の取り扱いである。海外の試験データを引用する際には特にこの点を確認する必要があり、他社品の承認外使用が試験設計に組み込まれているデータを提示する際には、その使用が日本の承認範囲外であることを明記した上で当該使用を推奨しない表現を用いることが求められる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q10

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Q11 承認外用法での副作用増加等を安全性注意喚起として示せるか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

①に関して、安全性に関する注意喚起のため、承認外の用法・用量で投与を行った際の副作用の増加や、効果の減弱などを示してもよいか。

A(厚生労働省の回答)

医薬品を安全に使用するために必要であり、注意喚起が目的である情報であれば情報提供して差し支えない。ただし、承認外の用法・用量での投与により、有効性や安全性に問題がなかったことを示す等、承認外の使用を推奨することが目的とならないように注意すること。

So what(意味すること): 承認外用法でのリスク(副作用増加、効果減弱等)を示す安全性注意喚起は提供可能。ただし「問題なかった」という有効性・安全性の肯定的結果を示して承認外使用を後押しするような提供は禁止される。

So why(なぜそう定めるか): 安全情報の提供は患者保護のために不可欠だが、「承認外でも問題ない」という形での情報提供は適応外使用を推奨することになるため、目的の区別が明確に求められている。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

安全性情報の提供は患者の適正使用を守るために不可欠な活動であり、承認外の用法・用量に関連するリスク情報も当然その対象に含まれる。このQ&Aが確認するのは、「目的が注意喚起であること」という判断基準であり、情報の内容そのものだけでなく、情報提供の文脈・意図・伝え方がリスク警告として機能しているかどうかが問われる。

許容される場面の典型は、承認用量を上回る投与が行われた際に有害事象の発生頻度が増加するという知見を、添付文書の用量遵守を促す文脈で医師に伝えることである。承認外投与のリスクを明示することは、処方における適正使用を支援する安全性注意喚起として位置づけられる。

禁止される境界線は、承認外の用法・用量で投与しても「有効性・安全性に問題がなかった」という内容を提示するケースである。これは注意喚起ではなく承認外使用の肯定・推奨であり、たとえ「情報提供」の形式をとっていても販提Gに違反する。承認外投与の安全性を問題のないものとして示すデータは、その目的が何であれ提供が禁じられる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q11

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Q12 自社に不利な情報も含むバランスのとれた提供が求められるか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

②に関して、「医療用医薬品の有効性のみでなく、副作用を含む安全性についても情報提供する等、必要な情報を提供し、提供する情報を恣意的に選択しないこと」とは、自社に有利な情報のみならず不利な情報も含んだバランスのとれた適切な情報を提供すること、と解釈してよいか。

A(厚生労働省の回答)

その理解で差し支えない。

So what(意味すること): 有効性情報だけでなく副作用等の安全性情報も含め、自社に不利な情報も恣意的に省略せず提供することが求められる。データの一部を都合よく抜き出すことは認められない。

So why(なぜそう定めるか): 情報提供を受ける医療関係者が正確な判断を下せるよう、片面的な情報提供を防ぐことが患者安全と適正使用の確保に不可欠であるため、バランスのとれた情報提供が原則とされた。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

「恣意的な選択をしないこと」という要件は、情報提供における片面提示(one-sided information)の問題を直接ターゲットとしている。製薬企業が情報提供の内容を自社に有利な方向に選択・整形することは、医療関係者による適切な処方判断を妨げ、患者への不利益をもたらすリスクがあるため、バランスのとれた情報提供が原則化された。

実務上の典型場面として、複数の試験成績を引用する際に主要評価項目で有意差が出なかった試験を省略し、副次的評価項目で有利な結果が出た試験だけを用いるケースや、メタ解析で全体としての効果量が小さいにもかかわらず、サブグループで高い効果が示された部分のみを抜粋して提示するケースが挙げられる。

誤りやすい点は「虚偽の情報を含んでいないから問題ない」という認識である。個々の引用が科学的に正確であっても、引用の選択・組み合わせ・強調によって生じる全体的な印象が原著論文や試験成績の実態と乖離している場合は、「情報の恣意的な選択」に当たる。特に資材審査の段階で、全体のバランスを確認するプロセスを組み込むことが求められる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q12

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Q13 査読済み論文も「客観的評価・検証が可能なもの」でなければならないか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

③について、「第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの」とされているが、査読を経ていることが免罪符的に用いられ、科学的根拠が緩やかに解されてきた経緯を考慮すれば、査読を経たものであっても、「第三者による客観的評価及び検証が可能なもの」でなければならないと考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

その理解で差し支えない。「論文の査読等」や「承認審査に用いられた評価資料や審査報告書」は、第三者による客観的評価及び検証が可能なものであることを前提として例示したものであり、第三者による客観的評価及び検証が可能とはいえない情報を提供することは認められない。

So what(意味すること): 査読という事実だけで科学的根拠として認められるわけではない。査読済みであっても第三者が客観的に評価・検証できない情報(例:再現できない研究、方法論が不透明な論文)は使用できない。

So why(なぜそう定めるか): 査読が「お墨付き」として機能し科学的基準が形骸化してきた経緯への反省から、査読は「第三者評価が可能であることの例示」にすぎないと明確化された。要件の本質は客観的検証可能性にある。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

査読制度は科学的根拠の質を担保する仕組みとして広く認知されているが、その運用には限界がある。査読者が利益相反を持つ場合、試験方法の詳細が不開示のために独立した検証が困難な場合、さらには後に撤回された論文が資材で引用され続けるケースなど、査読を経ていることが実質的な科学的妥当性を保証しない事例が積み重なってきた。このQ&Aはこうした実態を踏まえ、査読は「第三者評価が可能であることの例示」にすぎないと明確化した。

具体的に問題となりやすい場面として、少数例の症例報告や企業資金による単一施設研究が査読付き雑誌に掲載された場合がある。査読を経て掲載されていても、試験登録情報がなく、データの独立的再現が不可能であり、研究の透明性が確保されていなければ、原則③の要件を満たすとは言えない。

実務上の確認ポイントは三つある。①試験が事前登録されているか(ClinicalTrials.gov等への登録)、②研究方法が十分に記述されており同一条件での再現が可能か、③著者・査読誌・出版社間の利益相反が適切に管理・開示されているか。これらを満たさない論文は査読の有無にかかわらず資材での使用が認められない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q13

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Q14 臨床研究法制定前の社外調査研究を資材に引用できるか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

④について、「臨床研究法」、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の制定以前に実施された社外の調査研究を販売情報提供活動の資材等に引用することは可能か。

A(厚生労働省の回答)

①から③を満たしており、その他の関連法規や遵守すべき指針、業界団体の自主規範等も踏まえて、科学的及び客観的な根拠に基づくことを担保できる調査研究であれば、引用することは差し支えない。

So what(意味すること): 臨床研究法や医学系研究倫理指針の施行前に実施された研究でも、①〜③の要件を満たし、当時適用された法規・指針・業界規範に照らして科学的・客観的根拠が担保できるなら引用可能。年代の古さ自体は禁止理由にならない。

So why(なぜそう定めるか): 法律・指針の施行時期で一律に引用可否を決めるのではなく、当時の適切な規範に従って実施されたか否かという実質的な科学的妥当性で判断する枠組みが採られた。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

臨床研究法は2018年4月に施行された比較的新しい法律であり、それ以前の長い期間に実施された数多くの観察研究・介入研究が資材での使用対象となる場面は実務上多い。このQ&Aは、施行日という画一的な基準ではなく、「当時の規範への準拠と科学的妥当性」という実質的な基準で可否を判断する枠組みを示している。

具体的な確認場面として、2000年代に実施された製造販売後調査(PMS)の結果報告書を資材に引用する場合がある。臨床研究法はないが、当時の薬事法下のGPSP省令や日本医師会等の倫理指針への準拠状況を確認し、研究方法の科学的妥当性・客観性を検証した上で引用可否を判断する必要がある。

誤りやすい点は、「臨床研究法以前なので確認しようがない」という思考の停止である。当時の業界団体の自主規範(日本製薬工業協会のプロモーションコード等)、各学会の研究倫理指針、薬事法上の関連省令への準拠状況は、研究報告書・論文・著者への問い合わせ等で確認を試みることができる。確認の結果とプロセスを記録に残すことが実務上重要である。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q14

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Q15 臨床研究法の対象とならない海外の社外調査研究も引用可能か

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

④について、「臨床研究法」、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の対象とならない海外における社外の調査研究を販売情報提供活動の資材等に引用することは可能か。

A(厚生労働省の回答)

A14 と同様。

So what(意味すること): 海外研究はQ14と同じ基準で判断される。①〜③の要件を満たし、当該研究が実施された国・地域の法規・指針・業界規範に照らして科学的・客観的根拠が担保できるなら引用可能。日本法の適用範囲外という事実自体は引用禁止の理由にも許可の理由にもならない。

So why(なぜそう定めるか): 国内外を問わず科学的妥当性と客観的検証可能性を統一基準とすることで、海外データを恣意的に利用するリスクを防ぎつつ、適正な海外エビデンスの活用を認める整合的な枠組みとなっている。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

海外で実施された臨床試験の成績を日本の資材に引用することは標準的な実務であり、特に欧米の多施設共同試験や大規模レジストリ研究は重要なエビデンス源となる。このQ&Aは、日本法の域外適用という論点ではなく、「どの国で実施されたかにかかわらず科学的妥当性と客観的検証可能性という普遍的基準で判断する」という立場を示している。

実際の場面として、ICH-GCPに準拠して実施された欧米の第III相試験の成績を引用する場合がある。ICH-GCP準拠はQ14・Q15の基準を満たすための重要な証拠となるが、それだけで十分かどうかは個別判断が必要である。試験デザインの透明性(事前登録、プロトコルの開示)、データの独立的検証可能性、利益相反の開示状況も確認が必要である。

誤りやすい点は、「海外の有名ジャーナルに掲載された論文は基準を当然満たす」という前提である。掲載ジャーナルの知名度は判断の一要素に過ぎず、試験の登録状況、研究資金の利益相反、研究方法の再現可能性についての確認を省略する根拠にはならない。また当該国の規制環境・倫理基準が日本のそれと大きく異なる場合は、追加的な確認が必要となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q15

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Q16 文献から倫理指針遵守が確認できない場合は可能な限り確認すれば足りるか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

④について、社外の調査研究が「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守したものであるかを、文献からは判読できない場合や、容易に確認できない場合があるため、可能な限りの確認を行うことが求められていると考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

③が満たされていることを前提として、その理解で差し支えない。ただし、可能な限りの確認を行ったことを説明できる状態にしておくこと。

So what(意味すること): 文献だけでは倫理指針への準拠が確認できない場合でも、③(第三者による客観的評価・検証が可能)の要件を前提に、できる限りの確認を行い、その確認過程を説明できる記録を残せば資材に引用できる。

So why(なぜそう定めるか): 全ての文献で倫理遵守の明記を要求すると適正な科学情報の活用が著しく制限されるが、無条件に引用を許容すると基準が形骸化するため、合理的努力と記録保存のバランスで実務的な基準が設定された。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

文献の中に倫理審査委員会の承認や「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」への準拠が明記されていないケースは実際に多く存在する。特に後向き観察研究や古い文献では、こうした開示が省略されていることがある。このQ&Aは、確認不可能を理由とした自動的な引用禁止ではなく、「合理的な確認努力と記録保存」という実務的な解を示している。

具体的な確認手段として、①研究登録データベース(UMIN、ClinicalTrials.gov等)で倫理審査承認番号の登録を確認する、②著者や掲載雑誌に問い合わせる、③施設の倫理委員会に照会する、といった方法が考えられる。これらの試みを実施した上で確認できなかった場合の取り扱いは、③(第三者による客観的評価・検証が可能)の要件充足を前提に個別判断となる。

誤りやすいのは、「確認できなかったので引用を見送った」という記録がない状態である。Q&Aが「可能な限りの確認を行ったことを説明できる状態にしておくこと」と求めているのは、確認プロセスそのものの証跡を残すことを意味する。行政調査や問題発生時に、どのような確認をしたかを示すことができない場合は、合理的努力を行ったとは認められない可能性がある。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q16

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Q17 論文中に利益相反の記述がない場合、分かる情報のみ記載でよいか

第1 3 販売情報提供活動の原則(1)

Q(質問)

④について、利益相反に関する具体的内容が「明記されたものであること」とあるが、引用する論文中に利益相反に関する記述がない場合には、分かりうる情報のみを記載することでよいか。

A(厚生労働省の回答)

当該規定は自社との利益相反関係に関するものであり、自社の行った物品、金銭、労務等の提供の確認は当然に行われるべき事項である。このため、当該確認ができない論文の使用は差し控えるべきである。

なお、既に作成して使用されている販売情報提供活動の資材等については、順次利益相反に関する記載の見直しをすること。

So what(意味すること): 利益相反の記述が論文にない場合でも、自社が行った金銭・物品・労務提供の有無は自社で確認できるはずであり、その確認ができない論文の資材への使用は認められない。「分かる情報のみ記載」という形での簡略化は認められない。

So why(なぜそう定めるか): 利益相反管理の規定は製薬企業が「第三者の論文」として提示する情報の信頼性を担保するためのもの。自社との関係の有無は企業側が常に把握可能であるため、知らなかったという言い訳は許されない。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

利益相反(COI)管理の規定が問題とするのは、製薬企業と研究者・著者との間の金銭的・物質的な関係であり、その確認主体は製薬企業自身である。論文にCOI開示欄がない、あるいは「なし」と記載されているからといって、製薬企業が独自の確認をしなくてよいことにはならない。自社が研究者に提供した金銭・物品・役務は自社の帳票・記録で確認できるはずであり、この確認を怠ることは許されない。

典型場面として、研究医師が自社品を使用した試験を実施した際に、その医師への講演謝金・コンサルタント料・研究助成の支払いがあったにもかかわらず、論文のCOI欄が空欄または「著者間に利益相反なし」と記載されているケースがある。この場合、自社との利益相反は自社の支払記録から確認できるにもかかわらず、論文の記載だけを根拠に問題なしと判断することは認められない。

この規定の特徴的な点は、「分かりうる情報のみ記載でよいか」という問いに対して明確に「否」と回答し、「確認ができない論文の使用は差し控えるべき」と踏み込んでいることである。確認が困難であれば使用禁止という厳格な立場が採られており、その反面で、既存資材についての経過措置として「順次利益相反に関する記載の見直しをすること」という現実的な移行対応も求めている。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q17

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Q18 ネガティブ情報として具体的にどのような情報を提供すべきか

第1 3 販売情報提供活動の原則(3)

Q(質問)

②について、「優位性を示せなかったことなど、医療用医薬品の有効性・安全性・品質に関し、ネガティブな情報についても提供すること」とされているが、どのような情報を提供することが考えられるか。

A(厚生労働省の回答)

例えば、原著論文からデータを引用する場合に、自社製品に有利な部分のみを抜粋することなく、自社製品の優位性が示せなかったことや、副作用等のリスクに関する情報等も含めて提供する等、原著論文の内容を歪めないよう正確に情報を提供すること。

So what(意味すること): 論文から引用する際に自社品に有利な部分だけを抜き出すことは禁止される。優位性を示せなかったデータや副作用リスク情報も含め、原著の内容を歪めない形で提供する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 部分的な引用による印象操作は医療従事者の処方判断を誤らせる。原著論文の全体的な文脈を維持した情報提供が患者にとって適切な治療選択につながる基本原則として規定されている。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

ネガティブ情報の提供義務は、このQ&Aの中で最も実務的な具体性を持って説明されている。厚労省が注目したのは「原著論文の内容を歪めないこと」という原則である。これは、データを捏造するという積極的な不正だけでなく、都合のよいデータのみを選択・強調することで受け手の印象を操作する消極的な不正も同様に禁じるものである。

典型場面として、自社品と対照薬を比較した無作為化比較試験において、主要評価項目である死亡率や入院率では両群間に有意差が認められなかったにもかかわらず、副次評価項目(症状改善スコアや血液検査値の変化)で自社品が優れていたデータのみを資材に掲載し、主要評価項目の結果を省略するケースがある。この選択的な提示は、試験全体が自社品の優位性を支持するかのような誤った印象を与える。

誤りやすい点は、「対外的に公表されているデータのみを用いているから問題ない」という認識である。公表データのみを使用していても、その選択と提示方法が原著の文脈を歪める場合は同様に禁止される。具体的には、「自社品が優位性を示せなかった試験」の存在を知りながら、それを資材の情報選択から除外することは、まさに「恣意的な選択」に当たる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q18

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Q19 審査とモニタリングを別組織・別責任者に分けることは可能か

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

販売情報提供活動の資材等の審査とモニタリング等を別の組織で担い、それぞれ責任者を置くことは可能か。

A(厚生労働省の回答)

販売情報提供活動監督部門内において、審査、モニタリング等についてそれぞれ責任者を置くことは差し支えない。

ただし、その場合であっても、販売情報提供活動について、責任の所在を明確にし、一貫した対応を行う必要がある等の観点から、両機能を統括する販売情報提供活動監督部門の責任者を明確化する必要がある。

So what(意味すること): 審査機能とモニタリング機能をそれぞれ別の担当者に任せることは可能だが、両機能を統括する販売情報提供活動監督部門全体の責任者を必ず置き、一元的な責任体制を維持する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 審査とモニタリングを分業することで専門性を高める実務上の合理性はある一方、責任の分散が監督の空白を生むリスクがあるため、統括責任者による一貫した指揮命令系統の維持が求められた。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

販売情報提供活動監督部門に求められる機能は、大きく①資材等の事前審査(適法性・科学的妥当性の確認)と②活動のモニタリング(実際に行われた情報提供の適切性の事後確認)の二つに分けられる。企業規模が大きくなるほど、それぞれを専門的に担う組織・担当者を設けることへのニーズが高まるが、このQ&Aは分業の容認と統括責任者の必置という二点を明確にした。

具体的な体制例として、医薬品情報部門が資材審査を担い、コンプライアンス部門がモニタリングを担うという分業体制が考えられる。それぞれに専門の責任者を置くことは認められるが、両機能を束ねる販売情報提供活動監督部門として一元的に位置づけられた組織と、その全体責任者を必ず明確化する必要がある。

実務上の誤りとして多いのは、二つの機能を別々の部門に置きつつ、それを束ねる販売情報提供活動監督部門の責任者が事実上不在または形式的な名称のみになっているケースである。モニタリングで問題が発見された場合に資材審査にフィードバックされる仕組みや、問題発生時の意思決定の経路が明確になっていることが、「一貫した対応」の実質的な要件となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q19

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Q20 監督部門に営業部門の従業員を活用できるか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

販売情報提供活動監督部門は、「販売情報提供活動の担当部門から独立した形で社内に設け」とあるが、モニタリングに関する業務を行う実務担当者として、営業活動の実態に精通した営業部門の従業員を活用することは認められるか。

A(厚生労働省の回答)

モニタリングに関する業務を行う実務担当者は、販売情報提供活動の担当部門から独立した部門に所属する者とすることが望ましいが、販売情報提供活動監督部門において、より実効的なモニタリングを行うために必要であると判断し、販売情報提供活動の担当者の経験等を活用することを否定するものではない。

ただし、販売情報提供活動の担当者がモニタリングに関する業務を実施するに際しては、モニタリングの手順や評価項目を客観的に定めることや、当該担当者の販売情報提供活動監督部門における人事上の位置づけを明確にすること等により、適正なモニタリングが行われるための体制を構築するとともに、こうした担当者は、当然のことながら、販売情報提供活動の担当部門との関係にとらわれることなく監督業務を適切に判断、実施することが求められる。

So what(意味すること): 営業経験者をモニタリング実務担当者に充てること自体は禁止されていないが、手順書・評価項目の客観的明文化と人事上の所属明確化が前提条件となる。

So why(なぜそう定めるか): 営業部門との利害関係が残ったままでは、監督の独立性が形骸化し、不適切な資材が審査を通過するリスクが生じるため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

本Q&Aが問うのは、「独立性」という概念の実質的な意味である。ガイドラインは販売情報提供活動監督部門を担当部門から独立させるよう求めているが、この独立性は「組織図上の分離」を意味するだけでなく、「利益相反のない立場での判断」を確保する仕組みとして機能しなければならない。営業部門経験者をモニタリング担当に活用すること自体は否定されないが、それが認められる前提として、手順書・評価項目の客観的明文化と人事上の所属明確化という二つの構造的措置が不可欠である。

典型的な適用場面として、規模が小さくコンプライアンス専門人材が限られる中規模製薬会社が、現場の実態に精通した経験豊富なMR経験者を監督部門のモニタリング実務担当として配置するケースがある。この場合、当該担当者が「監督部門の所属員」として人事上明確に位置づけられ、自らがかつて所属した営業部門のモニタリングにも中立的に関与できる体制が文書化されている必要がある。

実務でよく誤解されるのは、「モニタリングを担当する人間が独立部門に物理的に所属しているか否か」のみで独立性を判断してしまう点である。本来は、①評価チェックリストが主観的裁量の余地なく設計されているか、②担当者の指揮命令系統が販売部門から完全に切断されているか、③モニタリング結果が販売部門のプレッシャーなしに監督部門責任者に報告できるか、の三点を総合的に確認しなければならない。営業経験があること自体はむしろ実効的なモニタリングに資するが、その経験を中立的に用いるための制度設計が先行することが求められる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q20

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Q21 メディカルアフェアーズ部門を監督部門にできるか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

メディカルアフェアーズ部門を販売情報提供活動監督部門とすることは認められるか。

A(厚生労働省の回答)

「販売情報提供活動」の該当性は、実際になされた活動により個別に評価・判断されるものであるから、メディカルアフェアーズ部門は被監督部門となる可能性があるため、販売情報提供活動監督部門とすることは原則として認められない。

ただし、資材等の審査を含め、販売情報提供活動監督部門の活動におけるメディカルアフェアーズ部門の従業員の活用に関しては、Q20と同様。

So what(意味すること): メディカルアフェアーズ部門は自らも「販売情報提供活動」に該当しうるため、原則として監督部門に据えることはできない。ただし個々の担当者をQ20の条件下で実務に加えることは別論。

So why(なぜそう定めるか): 監督する側と監督される側が同一組織では利益相反が生じ、ガイドラインの独立性要件を満たせないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

メディカルアフェアーズ(MA)部門の活動が「販売情報提供活動」に該当しうるという前提を厚労省が明示したことは、業界に対して重要なシグナルを発している。MA部門は科学的中立性を標榜するが、その活動が実質的に製品の処方を促進する効果を持つ場合、ガイドラインの適用対象となりうる。このため、MA部門が自ら監督者となることは、「自己監督」という構造的な矛盾を生じさせるとして原則禁止とされた。

典型的な適用場面は、製薬企業がコスト削減や人員効率化を理由に、MA部門にモニタリング機能を兼務させようとするケースである。特にグローバル本社の指示でMA部門とコンプライアンス機能を統合する事例が見られるが、こうした組織再編がガイドラインの独立性要件に抵触する可能性を事前に精査する必要がある。許容される活用方法は、MA部門の専門家を「実務担当者」としてQ20の条件下で監督部門に一時的に関与させることに限られ、MA部門自体が監督責任を担うことではない。

誤りやすい境界線として、「MA部門が実施する審査・監督委員会への参加」と「MA部門が監督部門の役割を担うこと」の混同がある。MA部門の科学専門家が審査・監督委員会に助言者として参加することはガイドラインが排除していないが、委員会での議決権行使や監督部門長への報告義務を担わせることは別の問題である。また、MA部門が「被監督対象」となりうる以上、MA部門の活動の適否を自部門が判断するという構造はいかなる形でも回避しなければならない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q21

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Q22 複数部署の集合体で監督部門を構成してよいか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

複数の部署や組織の集合体で販売情報提供活動資材の審査や、販売情報提供活動のモニタリング・指導等を行い、その適切性を担保している例もあることから、本ガイドラインの趣旨に沿って各社が裁量をもって組織を設計することが許容されるか。

A(厚生労働省の回答)

「販売情報活動監督部門」を構成する部署や人員については、既存の組織を活用して構成することは差し支えない。

ただし、「販売情報活動監督部門」の組織、構成員及び責任者等は、明確にされている必要がある。

So what(意味すること): 既存の複数部署を束ねて監督部門を構成すること自体は認められるが、その場合でも組織図・構成員名簿・責任者名の文書化が必須となる。

So why(なぜそう定めるか): 責任の所在が曖昧なまま複数部署に分散すると、違反発生時の対応が遅れ、行政対応にも支障が生じるため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

監督部門の組織構成に関するこのQ&Aは、ガイドラインが新たな専任組織の設置を義務付けているわけではなく、既存の組織を束ねて監督機能を果たすことを許容している点を確認するものである。法令が「形式」ではなく「機能」を求めていることの現れであり、特に規模の小さな企業にとって、大きな制度的コストなく体制整備を進めるための根拠となる。

典型的な適用場面として、法務部・薬事部・コンプライアンス部の三部署が合議体として「販売情報提供活動監督委員会」を構成し、これを監督部門として機能させるケースがある。この場合、三部署のどの役職者が監督部門の最終責任者であるかを組織規程・業務分掌規程に明記し、行政からの照会があった際に一元的に対応できる窓口を明確にしておく必要がある。

実務上の落とし穴は、「複数部署が関与している」という事実をもって責任の所在が分散しているように見なされるリスクである。行政指導や是正措置の場面では、「どの部門の誰が最終責任を負うのか」が問われる。このため、複数部署で構成する場合でも、単一の「監督部門責任者」を任命し、その者の役職・氏名を内部文書および関係部署への通知文書に明記することが不可欠である。形式的な名称や委員会の設置だけでは不十分で、意思決定フローと責任帰属が文書上も実態上も一致していなければならない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q22

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Q23 審査・監督委員会を監督部門外に設置してよいか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

審査・監督委員会は、販売情報提供活動監督部門外の社内に設置してもよいか。

A(厚生労働省の回答)

差し支えない。ただし、審査・監督委員会を販売情報提供活動監督部門の内外いずれに設ける場合であっても、その助言を十分活用し、モニタリングや審査等に第三者の視点が適切に反映されるような体制を構築することが重要である。

So what(意味すること): 委員会の設置場所は問われないが、委員会の助言を実際のモニタリング・審査プロセスに組み込む手続きを手順書に明記しておく必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 委員会が形式的に存在するだけでは第三者視点が担保されず、ガイドラインが求める客観的監督の実効性が失われるため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

審査・監督委員会の設置場所に関するこのQ&Aは、ガイドラインが形式的な「置き場所」よりも「助言の実質的活用」を重視していることを示している。委員会が監督部門の内部に置かれるか外部に置かれるかは、委員会の独立性や実効性に直接影響しない。むしろ重要なのは、委員会が発した助言がモニタリング・審査の実務プロセスに組み込まれ、形骸化しないための仕組みが整っているかである。

典型的な適用場面として、取締役会や経営委員会の下に「コンプライアンス委員会」が既に設置されており、その中に審査・監督機能を組み込むケースがある。この場合、コンプライアンス委員会が発した指摘事項が、販売情報提供活動監督部門の手順書改訂や資材差止めにつながる明確なフローを文書化しておく必要がある。助言が「記録された」だけで終わり、実際の是正措置に反映されない運用は、行政監査において委員会が有名無実と判断されるリスクを生む。

誤りやすい点は、委員会が「第三者の視点を取り入れるための机上装置」として機能しているに過ぎない実態である。特に年に一度しか開催されない委員会では、資材審査のタイムライン内に助言が間に合わず、結果として審査部門が独自判断で進めるケースが生じる。このような形骸化を防ぐには、委員会の開催頻度と資材審査・モニタリングサイクルを連動させ、緊急の助言を求める際の例外手続きも手順書に定めることが現実的な対策である。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q23

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Q24 「自社から独立性を有する者」に求められる独立性の程度

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

審査・監督委員会の構成員に含めることとされている「自社からの独立性を有する者」について、どの程度の独立性が求められるか。

A(厚生労働省の回答)

審査・監督委員会には、医薬品製造販売業者等の利害にとらわれることなく、販売情報提供活動監督部門に対する助言を行うことにより、販売情報提供活動の資材等の審査やモニタリング等の監督指導が適正に行われることを確保する役割が求められている。そのため、「自社からの独立性を有する者」については、医薬品製造販売業者等の利害にとらわれない社外者としての立場から毅然とした助言を行うことができる者といえるかどうかを、慎重に判断する必要がある。

So what(意味すること): 「社外者」であればよいというわけではなく、当該業者の商業的利害から切り離された立場で遠慮なく指摘できる人物かどうかを、選任前に個別に慎重審査しなければならない。

So why(なぜそう定めるか): 委員が業者の利害に配慮して助言を手加減すれば、委員会の設置要件が形骸化し、不適切な資材が流通するリスクが残るため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

「自社からの独立性を有する者」の判断基準を問うこのQ&Aは、外部性(社外であること)と独立性(利害から切り離されていること)が必ずしも同一でないという重要な概念整理を提供している。ガイドラインが求めているのは後者であり、単に「社員でないこと」をもって独立性を証明することはできない。医薬品業界との経済的関係・過去の雇用関係・顧問契約等のあらゆる利害関係を選任前に洗い出し、利害から切り離された立場で率直な助言が可能であることを個別に確認することが求められる。

典型的な適用場面として、大学病院の医師や医学部教授を委員候補として検討するケースがある。こうした人物が当該企業の奨学寄付金を受領していたり、特定製品の臨床試験に主任研究者として関与していたりする場合、「社外者」であっても独立性の観点から問題が生じる可能性がある。また、別の製薬企業の顧問を兼任している者は、業界全体の利害を共有している点で慎重な判断が必要である。

誤りやすい境界線は、過去の関係と現在の関係の区別である。数年前に当該企業のコンサルタントとして関与していた人物が、現在は完全に業務委託関係を解消している場合、過去の関与が独立性を恒久的に損なうものではない。しかし、解消から間もない時期であれば心理的バイアスが残る可能性があるため、インターバルの長さや関与の深度を総合的に考慮して判断することが実務上合理的である。選任の判断プロセスを記録に残しておくことで、行政への説明責任を果たすことができる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q24

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Q25 資材審査を行う外部専門家を委員会の独立者として兼務できるか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

審査・監督委員会に「自社からの独立性を有する者が含まれる」とあるが、例えば、業界による自主ガイドラインに従い、外部の弁護士等の専門家が販売情報提供活動の資材等の審査を行っている場合、この者を審査・監督委員会に求められる「自社からの独立性を有する者」とすることが許容されるか。

A(厚生労働省の回答)

審査・監督委員会による販売情報提供活動監督部門に対する助言が適正に行われることを確保する観点から、販売情報提供活動の資材等の審査の業務を行う者が、審査・監督委員会の構成員となることは認められない。

したがって、現に販売情報提供活動の資材等の審査を行っている外部の弁護士等の専門家を、「自社から独立性を有する者」として活用する場合は、販売情報提供活動監督部門ではなく、審査・監督委員会の構成員として位置づけること。

So what(意味すること): 資材審査を実施している外部弁護士等は、委員会の独立委員と兼務できない。審査担当か委員かのどちらか一方の役割に限定する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 自分が審査した資材の適否について自分が委員会で助言を行えば、自己評価となり客観的チェックが成立しないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

本Q&Aが示す「審査担当と委員の兼務禁止」は、監督の実効性を担保するための役割分離原則の具体的な表れである。資材等の審査を実施した者が、その審査の妥当性について自ら助言を与える委員を兼務することは、自己評価の構造となり、第三者チェックが成立しない。外部弁護士や規制専門家は「社外者」であるが、審査担当者としての役割を担っている限りは「独立委員」にはなりえない。

典型的な適用場面として、外部の製薬規制専門家が当該企業の資材審査を定常的に受託しており、その専門性を活かして審査・監督委員会にも参加させたいというニーズが生じるケースがある。A氏が資材審査担当、B氏が委員会独立委員と役割を明確に分離するか、あるいはA氏には審査業務のみを担わせ委員会の独立委員には別の人物を充てるという解決策が現実的である。同一人物の兼務が認められないため、専門家プールの厚みを確保する組織設計が必要となる。

誤りやすいのは、審査への「助言」と審査の「実施」を混同する点である。委員会の独立委員が審査部門に対して事前に一般的な助言を与えることは問題ないが、特定資材の適否について具体的に審査を担い承認・却下の判断に加わった場合、その者は「審査を行う者」に当たる。また、委員が「オブザーバー」として審査プロセスを見学するだけの場合も、実質的に審査に加わっているとみなされる可能性があるため、委員会と審査の接触ルールを手順書に明確に定めることが望ましい。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q25

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Q26 グローバル組織所属の者は「自社から独立」に該当するか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

日本法人の社長の指揮監督下にない、グローバルの組織に所属する者(例えば、日本法人のコンプライアンス部門が、日本法人の社長の指揮監督下になく、グローバルのコンプライアンス組織に所属している場合)は、「自社からの独立性を有する者」に該当しうるか。

A(厚生労働省の回答)

グループ企業として利害関係を共にしていることから、日本法人の社長の指揮監督下にあるかどうかにかかわらず、独立性を有する者には該当しない。

So what(意味すること): グローバル本社のコンプライアンス担当者は、日本法人社長の指揮下になくても同一グループの利害を共有するため、委員会の独立委員としては認められない。

So why(なぜそう定めるか): 独立性の本質はグループ全体の商業的利害からの切り離しであり、指揮命令系統の形式的な差異では判断されないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

本Q&Aは、指揮命令系統の形式的分離ではなく「利害の共有」という実質で独立性を判断することを明確にしている。グローバル製薬企業の日本法人において、コンプライアンス機能がグローバル本社に直属する形態は一般的だが、そうした担当者はグループ全体の商業的利益を共有しており、「自社から独立」とは言えない。本Q&Aは、グローバル組織設計に起因するこの論点を正面から答えたものである。

典型的な適用場面として、外資系製薬企業の日本法人でグローバルのHead of Complianceが委員会メンバーとして指名されるケースがある。当該人物が日本法人の代表取締役に報告義務を持たず、グローバルCEOに直属するとしても、グループ企業の連結決算や株主に対する連帯利益を共有しているため独立性は否定される。同様に、グローバル本社のメディカル・アフェアーズ担当者も同一の理由により独立委員になりえない。

境界線として問題となるのは、「形式的にはグループ外の外部弁護士や規制当局OB」が実際にはグループ企業と継続的な顧問契約を結んでいるケースである。顧問料が継続的に支払われている限り、当該人物の独立性は実質的に制約されると判断されうる。逆に言えば、真に独立した第三者とは、当該グループから一切の報酬・経済的利益を受けない立場にある者であり、この条件を満たす適格者の確保が日本の業界全体における制度整備の実務的課題となっている。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q26

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Q27 審査・監督委員会の業務を外部機関に委託できるか

第2 2 社内体制の整備

Q(質問)

販売情報提供活動監督部門の責任者に対して必要な助言ができる適切な外部機関に審査・監督委員会の業務を委託してよいか。

A(厚生労働省の回答)

差し支えない。ただし、その場合であっても、モニタリングや審査等の監督指導に関する責任は販売情報提供活動監督部門が担うこと。

So what(意味すること): 業務そのものを外部委託することは可能だが、モニタリング・審査の最終責任は自社の監督部門が負う。委託先任せにして責任を転嫁することはできない。

So why(なぜそう定めるか): 委託先が不適切な対応をした場合に、自社が行政から責任を問われる立場であることを明示するため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

審査・監督委員会業務の外部委託可否を問うこのQ&Aは、ガイドラインが「業務の実施主体」と「最終的な責任の帰属先」を分離して考えていることを示している。業務執行は外部に任せることができるが、監督指導に関する責任は法的・行政的に委託元である自社の監督部門が負い続ける。この原則は、日本の企業法制・薬事行政全般に共通する「業務委託しても責任は自社」という考え方と整合している。

典型的な適用場面として、専門性の高い外部CRO(受託機関)やコンプライアンス専門会社に委員会機能を委託するケースがある。委託先が月次でモニタリング結果を報告し、半年に一度委員会として審査を行う契約形態でも、委託先が不適切な判断を下した場合に監督官庁から改善指示を受けるのは委託元の製薬会社側である。このため、委託契約書に「委託先の業務の質を評価・管理する義務」「異常時の自社への即時報告義務」等を盛り込み、実効的な管理体制を維持することが必要である。

誤りやすい点は、外部委託をもって「審査・監督委員会を設置した」という要件を満たせると考えつつ、委託先の実務を全く確認しないケースである。委託先がガイドラインの趣旨に即した助言を実際に行っているか、委員会記録が適切に保存・報告されているかを定期的に確認する仕組みが必要である。委託先任せのまま問題が発生した場合、「外部委託しており管理していなかった」という事実が、むしろ行政対応において不利に働く可能性がある。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q27

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Q28 経営陣による従業員評価への反映とは具体的に何か

第2 4 販売情報提供活動に関する評価や教育等

Q(質問)

「経営陣は、役員・従業員が適切な販売情報提供活動を行ったかどうか及び行わせたかどうかを確認し、役員・従業員に対する評価に適切に反映すること」とあるが、具体的にはどのようなことを想定しているか。

A(厚生労働省の回答)

例えば、販売情報提供活動の担当部門に所属する者に対して、適切な販売情報提供活動を行ったこと及び行わせたことを人事上の評価項目として設定するなど、売り上げ至上主義によらない人事評価制度や報酬体系とすることが考えられる。

So what(意味すること): 「適切な販促活動の実施」を人事考課の明示的な評価軸に加え、売上だけで評価・昇給が決まる制度を改める必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 売上目標だけを評価軸にすると、担当者が不適切な誇張情報を提供するインセンティブが生まれ、ガイドライン違反を構造的に誘発するため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

経営陣による評価反映の具体的内容を問うこのQ&Aは、ガイドラインが単に担当者の行動規範を定めるだけでなく、組織のインセンティブ構造そのものの変革を求めていることを示している。売上額・処方件数のみを評価軸とする人事制度は、担当者に誇張した情報提供を行う動機を構造的に与えてしまう。これを変えなければ、資材審査や手順書の整備をいくら行っても、現場での不適切行動を根絶することはできない。

典型的な適用場面として、担当者の年次考課において「コンプライアンス遵守度」「資材範囲内での情報提供実績」「クレーム対応状況」等を定量・定性評価項目として加えるケースがある。また、管理職(営業所長・地区マネージャー等)については、部下の不適切行動を放置または黙認したか否かを評価項目に加えることも求められている。売上目標未達でもコンプライアンス評価が高い担当者が昇格できる制度設計が求められる。

誤りやすい点は、コンプライアンス評価項目を「加点のみ」にとどめ、売上未達のマイナス評価を相殺できない設計にすることである。このような制度では、担当者は実質的に売上至上主義のまま行動せざるを得ない。経営陣が本Q&Aの趣旨に従う場合、「適切な販売情報提供活動を行ったこと」が独立した評価軸として機能し、かつ当該評価軸での低評価が昇格・報酬に実質的な影響を与える制度設計が必要である。こうした制度変更は、監督官庁の監査において「売上至上主義の是正措置」として注目される重要な証拠となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q28

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Q29 モニタリングや委員会報告の頻度の目安はあるか

第2 5 モニタリング等の監督指導の実施

Q(質問)

販売情報提供活動のモニタリングについて、定期的なモニタリングや審査・監督委員会への販売情報提供活動の実施状況の報告の頻度等の目安はあるか。

A(厚生労働省の回答)

本ガイドラインを遵守した適切な販売情報提供活動が行われることを担保できるよう、各社の販売情報提供活動等の状況に応じて、適切なモニタリング計画を策定し、運用すること。

So what(意味すること): 頻度の全社一律基準は設定されていない。各社はリスクの高い活動領域や過去の違反実績を踏まえてモニタリング計画を自社設計し、定期的に見直す必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 企業規模・製品特性・活動形態が異なるため、一律の頻度基準では形式的な実施に終わり、実質的なコンプライアンス担保にならないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

モニタリング頻度の目安がないことを明示するこのQ&Aは、各社がリスクベースアプローチでモニタリング計画を策定することを求めている。画一的な基準を設けない理由は、企業規模・製品特性・活動形態・過去の違反実績等が多様であるため、一律の頻度基準が形式的な遵守(「年4回やれば良い」という発想)を生むリスクを避けるためである。監督官庁は頻度よりも「計画の合理性と実績」を見る。

典型的な適用場面として、大量の担当者を抱える大手企業では、地域・製品・活動種別等でリスク分類を行い、高リスク区分では月次、低リスク区分では四半期のモニタリングを行うリスクベース計画を策定するケースがある。一方、小規模企業では担当者全員を同一頻度でモニタリングすることも現実的な選択肢となる。いずれの場合も、モニタリング計画の策定過程・実施記録・是正措置の実施状況を文書化しておくことが求められる。

誤りやすい点は、モニタリングを「問題を発見するための手続き」としてのみ設計し、結果の活用(フィードバック・教育・手順書改訂)との連動を設計しないケースである。モニタリングで問題が発見されても、是正措置が実施されず同じ問題が繰り返される場合、監督官庁からは「モニタリングを実施しているが機能していない」と評価される。モニタリング計画には発見事項を活かすためのPDCAサイクルを組み込み、委員会への定期報告と連動させることが実効的な体制整備につながる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q29

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Q30 手順書に必須の記載項目はあるか

第2 6 手順書・記録の作成・管理

Q(質問)

販売情報提供活動に係る手順書に網羅すべき必須項目はあるか。

A(厚生労働省の回答)

販売情報提供活動の方法、業務記録の作成、販売情報提供活動の資材等の取扱い等の項目を含め、本ガイドラインを遵守した適切な販売情報提供活動が行われることを担保することができるよう、各社の販売情報提供活動等の状況に応じて、手順書を定めること。

また、手順書の項目については、各社における運用を踏まえ、随時必要な改訂を行うこと。

So what(意味すること): 政令で列挙された固定必須項目はないが、活動方法・業務記録・資材取扱いの3分野は最低限カバーする必要があり、運用実態が変われば随時改訂しなければならない。

So why(なぜそう定めるか): 手順書がガイドラインの遵守を担保する内部統制ツールである以上、実態に合わない記載のままでは機能しないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

手順書の必須項目が法令上固定されていないことは、一見すると「何でもよい」に見えるが、本Q&Aが挙げる三分野(活動方法・業務記録・資材取扱い)は最低限カバーすべき骨格であり、これに加えてモニタリング手順・苦情処理・是正措置・教育訓練等を補完的に定めることが実務上求められる。手順書は内部統制の要であり、空白のある手順書は監督機能の穴となる。

典型的な適用場面として、ガイドライン施行後に各社が既存のSOPを見直す過程で、GMP関連手順書はあるが販促活動専用の手順書が存在しなかった企業が、新たに手順書を整備するケースがある。この場合、既存の「MR活動マニュアル」や「資材管理規程」等を包括する形で、ガイドラインの各条項に対応した手順書体系を構築することが合理的な進め方となる。手順書の版管理(改訂履歴・有効版の管理)も重要な実務課題となる。

誤りやすい点は、「手順書を作成した」ことで要件を満たしたと思い込み、運用実態が変わっても改訂しないケースである。例えば、デジタルツールを用いた新しい情報提供形態(電子資材・ウェビナー等)が登場した際、既存の手順書がその取扱いを定めていない場合、担当者は判断基準なく新形態の活動を行うことになる。手順書は「作成」ではなく「最新性の維持」が実効的なコンプライアンスの鍵であり、年次レビューを義務化する仕組みを組み込むことが望ましい。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q30

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Q31 口頭説明の業務記録は簡易な記載で足りるか

第2 6 手順書・記録の作成・管理

Q(質問)

口頭の説明の全てを業務記録に詳細に記載することは困難であることから、日時、訪問先医療機関名、医師・薬剤師名、使用した資材等の情報を記載する程度で足りるか。

A(厚生労働省の回答)

販売情報提供活動監督部門による審査済みの販売情報提供活動の資材に基づき、その範囲内での説明を行う限りにおいては、日時、訪問先医療機関名、医師・薬剤師名、使用した資材等の情報を記載することで差し支えないが、販売情報提供活動の資材に記載のない事項についての説明を行う場合は、医師・薬剤師とのやりとりの概要を含めた具体的な内容の記録が求められる。

So what(意味すること): 承認済み資材の範囲内の説明なら訪問ログ(日時・施設名・担当者・使用資材)のみで足りるが、資材に記載のない説明をした場合は、その内容とやりとりの概要を具体的に記録しなければならない。

So why(なぜそう定めるか): 資材外の説明は後から検証する手段が記録しかなく、不適切な情報提供の有無を監督部門が確認できなければ監督機能が成立しないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

口頭説明の業務記録に関するこのQ&Aは、「記録の要求水準は提供した情報の性質によって変わる」という重要な原則を示している。承認済み資材の範囲内であれば訪問ログで足りるが、資材外の説明を行った場合は内容の概要まで記録しなければならない。この区分は、モニタリングの実効性を担保するためのものであり、資材外の説明こそが最も不適切な情報提供が発生しやすい場面であるという認識に基づく。

典型的な適用場面として、医師から資材に記載のない最新の臨床試験結果や適応外の有効性データについて質問された場合がある。担当者が「先生のご質問にお答えする形で」当該情報を提供した場合でも、それが販売情報提供活動監督部門が審査していない情報である限り、具体的な内容とやりとりの概要を業務記録に残さなければならない。この記録が後のモニタリングにおいて不適切な情報提供の有無を判断する唯一の手がかりとなる。

実務上の誤りとして頻繁に見られるのは、担当者が「医師に求められたから話した」という理由で資材外説明を正当化しつつ、記録はしないというケースである。医師の要請があったとしても、資材外説明の内容を記録しないことは本Q&Aの要件を満たさない。また、「やりとりの概要」の記録水準については、後の検証者が内容の適否を評価できる程度の具体性が求められる。「医師から質問あり、回答した」という記録では不十分であり、質問の内容・提供した情報の内容・出典等を明記することが実務基準となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q31

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Q32 業務記録の保管期間の目安はあるか

第2 6 手順書・記録の作成・管理

Q(質問)

販売情報提供活動に係る業務記録の保管期間の目安はあるか。

A(厚生労働省の回答)

本ガイドラインにおいて、業務記録の作成が求められている趣旨及びその必要性を踏まえて、各社の状況に応じて適切に設定すること。

So what(意味すること): 法定の最低保管年数は本ガイドラインでは定められていない。各社は記録作成の趣旨(モニタリング・行政調査への対応)を踏まえ、自社判断で保管期間を設定する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 行政調査や紛争発生時に過去の活動内容を証明できなければ記録の目的が達成されないため、保管期間は実態上の必要性から逆算して設定すべきである。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

業務記録の保管期間を法定しないこのQ&Aは、各社に実質的な判断を委ねているが、「業務記録の作成が求められている趣旨」という表現が重要なヒントを与えている。その趣旨はモニタリング・行政調査への対応・法的紛争への備えであり、それぞれの場面でいつまで記録が必要かを逆算することが合理的な保管期間設定の手法となる。

典型的な適用場面として、モニタリングサイクルが年2回の企業では直近2サイクル分(約1年)が参照可能であれば足りる場面がある一方、行政調査は調査着手から最終処分まで数年を要することもあり、その観点からは数年の保管が合理的である。医薬品医療機器法に基づく行政処分の時効に準じて保管期間を設定する企業もある。また、民事上の不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効(民法上は原則3年または10年)を考慮した保管期間設定も一つの実務的アプローチである。

誤りやすい点は、業務記録の保管期間を一律に設定し、保管コストの観点から過度に短くすることである。特に、不適切な情報提供に関する苦情が発生した後に関連記録が廃棄されていた場合、「証拠隠滅」の疑いを生む可能性がある。このため、苦情・クレームの発生や行政からの照会があった案件については、通常の保管期間を超えて記録を保持する例外的な保管延長ルールを手順書に定めることが実務上推奨される。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q32

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Q33 苦情受付窓口の外部周知方法に定めはあるか

第2 8 苦情処理

Q(質問)

販売情報提供活動について苦情を受け付ける窓口の外部への周知方法について定められた方法はあるか。

A(厚生労働省の回答)

各社の状況に応じて適切と考えられる方法で周知することで差し支えない。

So what(意味すること): 周知方法は各社の裁量に委ねられているが、医療機関・薬剤師等が実際に苦情を申し出られる手段(自社ウェブサイト、訪問時の案内等)を選択する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 苦情が申し出られなければ、問題のある活動が継続しても監督部門が把握できないため、実質的にアクセスできる周知手段の選択が前提となるため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

苦情受付窓口の周知方法に定めがないことを確認するこのQ&Aは、ガイドラインが「手段の形式」ではなく「苦情が実際に届く仕組みの実質」を求めていることを示している。医師・薬剤師・その他の医療関係者が実際に苦情を申し出られる手段でなければ周知の意味がない。アクセスしにくい窓口を設けても、ガイドラインが意図する苦情収集の目的は達成されない。

典型的な適用場面として、担当者が初回訪問時に名刺や自社案内の裏面に苦情受付窓口の連絡先を記載して手渡す方法、自社製品の製品情報概要等に窓口情報を記載する方法、医療機関向けのウェブポータルに掲載する方法等がある。いずれの場合も、窓口に苦情が届いた後に、どの担当が分類・記録・監督部門への報告を行うかを明確にした運用フローが伴わなければならない。

実務上の誤りは、苦情窓口の「周知」のみを整備し、受け付けた苦情の「処理フロー」を定めないことである。苦情窓口が機能するためには、①苦情の受付・分類、②販売情報提供活動に関する苦情の識別、③監督部門への報告、④是正措置の実施、⑤苦情記録の保管、という一連のプロセスが文書化されている必要がある。また、窓口担当者が「これは販売情報提供活動に関する苦情か否か」を判断できるトレーニングを受けていることも実効的な苦情処理の前提となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q33

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Q34 既存の顧客相談窓口を苦情窓口として転用してよいか

第2 8 苦情処理

Q(質問)

外部からの問合せ窓口として既に会社ホームページやお客様相談室等がある場合は、そうした窓口を活用した上で、販売情報提供活動に関する苦情が適切に販売情報提供活動監督部門に報告されるよう対応することでよいか。

A(厚生労働省の回答)

差し支えない。ただし、販売情報提供活動に関する苦情について、その他の苦情と明確に区別して適切に対応するように留意すること。

So what(意味すること): 既存のお客様相談室等を転用することは可能だが、販促活動に関する苦情を他の苦情と区分して受け付け・記録し、監督部門に確実にエスカレーションする運用フローを文書化しておく必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 販促活動への苦情が一般クレームに紛れて処理されると、監督部門が把握できず、問題行動の再発防止につながらないため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

既存の顧客相談窓口を転用することを認めるこのQ&Aは、実務的な利便性を認めつつも、「販促活動に関する苦情を他の苦情と区別して対応する」という実質的条件を課している。これは、販促活動への苦情が一般的な製品クレームや副作用報告と混在すると、監督部門への適切なエスカレーションが機能しないリスクを回避するためである。

典型的な適用場面として、既存のメディカルインフォメーション部門(MI部門)を窓口として活用しつつ、受け付けた問い合わせの中から販促活動に関する苦情を識別・記録し、定期的に監督部門に報告する運用フローを設計するケースがある。MI部門と監督部門の間の情報フローを明確にし、苦情の件数・内容・対応状況を監督部門が定期的に把握できる報告体制を整備することが必要である。

境界線として問題となるのは、「苦情」と「一般的な製品情報の問い合わせ」の区別が現場で曖昧になるケースである。たとえば、「担当者からX薬の用法用量について誤った説明を受けた」という申し出は、製品情報の問い合わせではなく販促活動に関する苦情として識別すべきである。この識別精度を高めるには、窓口担当者への教育訓練と、疑義が生じた場合に監督部門に照会する仕組みが不可欠となる。識別漏れを防ぐためのダブルチェック体制を手順書に組み込むことが望ましい。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q34

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Q35 未承認薬・適応外薬の情報提供はMRでも可能か

第4 3 未承認薬・適応外薬に関する情報提供

Q(質問)

未承認薬・適応外薬に関する情報提供はMRでも可能との理解でよいか。

A(厚生労働省の回答)

未承認薬・適応外薬等に関する情報提供は、通常の販売情報提供活動とは切り分けることとしており、かつ、専門的、科学的な妥当性が特に求められることから、通常の販売情報提供活動の担当者以外の適切に対応ができる立場の者が対応することが望ましいが、MRが通常の販売情報提供活動とは切り分けられた環境において、ガイドライン第4の3の(1)から(8)の条件を全て満たした上で対応することを否定するものではない。

So what(意味すること): MRによる対応は完全に禁止されているわけではないが、通常のMR活動から切り離された環境で、ガイドライン第4の3の(1)〜(8)の全条件を満たす場合のみ認められる。条件を一つでも欠けば不可。

So why(なぜそう定めるか): 未承認・適応外情報は科学的専門性が高く、誤った情報が患者に与えるリスクが大きいため、通常の販促活動と同じ枠組みでの対応を原則として排除しているため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

MRによる未承認・適応外情報の提供が「完全禁止ではない」と示したこのQ&Aは、同時に「容易には認められない」という高いハードルを明確にしている。ガイドライン第4の3の(1)〜(8)はそれぞれが独立した必要条件であり、一つでも欠ければMR対応は不可となる。このQ&Aを「MRでもできる」という方向で解釈することは誤りであり、「きわめて限定的な条件下でのみ可能」という方向で運用設計することが求められる。

典型的な適用場面として、稀少疾患や専門的な疾患領域において、メディカルアフェアーズ専門人材が少なく、MRが科学的情報を医師に伝えるざるをえない状況が考えられる。この場合でも、MRは「通常の訪問活動から完全に切り離された」別の場・別の時間帯において当該情報提供を行う必要があり、通常のMR訪問の延長として未承認・適応外情報を提供することは許されない。また、当該情報提供の前後に8条件の確認と記録が必要であり、これを担保する社内手続きの設計が先行しなければならない。

最も誤りやすい境界線は、「医師から強く求められた」「患者の治療上どうしても必要な情報だった」という理由で8条件の充足確認を省略するケースである。条件不充足のまま提供した情報は、たとえ医師の強い要請に応えるものであっても、ガイドライン違反となる。また、「切り分けられた環境」の解釈としては、物理的な場の切り分け(別室・別訪問等)だけでなく、組織上・記録上の切り分けも求められており、「同じ訪問の中で話が移った」という状況では切り分けが成立しない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q35

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Q36 未承認薬・適応外薬関連記録の保管期間の目安はあるか

第4 3 未承認薬・適応外薬に関する情報提供

Q(質問)

未承認薬・適応外薬に関する情報提供に関する記録の保管期間の目安はあるか。

A(厚生労働省の回答)

本ガイドラインにおいて、未承認薬・適応外薬等に関する情報提供についての記録の作成が求められている趣旨及びその必要性を踏まえて、各社の状況に応じて適切に設定すること。

So what(意味すること): Q32と同様に、法定最低期間の定めはない。ただし未承認・適応外情報は医薬品安全上の重要性が高いため、通常業務記録より長期の保管を検討することが実務上合理的である。

So why(なぜそう定めるか): 未承認・適応外情報の提供に問題があった場合、その後の薬事行政手続き・安全性調査は長期にわたることがあり、記録がなければ事実確認が不可能になるため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

Q32と同様に保管期間の目安を設けないこのQ&Aは、未承認・適応外情報に関する記録が通常の業務記録とは異なる性質を持つことを示唆している。未承認・適応外情報の提供は8条件を全て満たした上でのみ認められる例外的行為であり、その記録は「条件充足の証明」という機能を持つ。行政調査や法的手続きにおいて、記録が存在することが条件充足の事後的な証明手段となるため、通常の業務記録より長期の保管が実質的に求められる。

典型的な適用場面として、未承認薬・適応外薬情報を提供する機会が多い臨床試験中の製品を担当するMRやメディカルアフェアーズ担当者の場合、個別の情報提供ごとに8条件のチェックリスト・提供した情報の内容・医師の要請の経緯等を記録し、それを製品の承認・市販後安全管理の期間と整合する形で保管することが合理的である。承認後に当該情報に基づく安全性の問題が浮上した場合、承認前の情報提供記録が参照される可能性がある。

誤りやすい点は、「未承認・適応外情報の提供記録」を「通常の業務記録」と同じ系統のファイルに混在させて保管するケースである。提供の性質が異なる以上、記録の管理体制も分離することが望ましい。また、担当者が異動・退職した後も記録が適切にアクセス可能な形で保存されているかを確認する仕組みが必要であり、記録の保管場所・管理責任者・引継ぎ手順を手順書に明記することが実務的な対策となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q36

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Q37 メディアセミナーやプレスリリースにもガイドラインが適用されるか

第4 3 未承認薬・適応外薬に関する情報提供

Q(質問)

メディアセミナーやプレスリリースを通じた情報提供についても、本ガイドラインの適用を受けると考えてよいか。

A(厚生労働省の回答)

メディアセミナーやプレスリリースを通じた情報提供については、実際になされた活動により「販売促進を期待して」なされたか否かを個別に評価・判断されるものであるから、一律に本ガイドラインの適用から除外されるわけではない。

特に、一般人向けメディアが含まれる場合については、一般人向け広告に該当するおそれがあるため、慎重な対応が求められる。

So what(意味すること): メディアセミナー・プレスリリースだからといって自動的にガイドライン適用外にはならない。「販売促進目的か否か」の個別評価が必要であり、一般向けメディアへの露出を含む場合は広告規制との整合性も別途確認が必要になる。

So why(なぜそう定めるか): 形式(セミナー・リリース)ではなく実質(販売促進の意図)でガイドライン適用を判断する原則が貫かれているため、形式だけで適用外を主張することはできない。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

メディアセミナーやプレスリリースへのガイドライン適用可否を問うこのQ&Aは、「情報提供の形式ではなく目的の実質によって判断する」というガイドラインの根本原則を改めて確認するものである。学術的体裁を持つメディアセミナーや「中立的情報提供」を標榜するプレスリリースであっても、その目的・内容・対象者が「販売促進を期待した活動」と評価される場合はガイドラインが適用される。

典型的な適用場面として、製品の新効能効果が承認された直後に、医療従事者向けメディアやニュースサービスを通じて当該製品のデータを紹介するメディアセミナーを開催するケースがある。このセミナーの内容・招待者・発表データの選択が特定製品の処方促進を目的とすると評価される場合、通常のMR活動と同様に監督部門による審査が必要となる。また、一般向けメディアが参加するセミナーでは、医薬品の一般向け広告規制との整合性を別途確認する必要がある。

誤りやすい境界線として、「学術論文の著者が発表者として登壇する場合」の扱いがある。外部専門家による発表であっても、企業が主催・費用負担し、発表内容や対象者を企業が実質的にコントロールしている場合は、企業の「販売情報提供活動」としてガイドラインが適用される。プレスリリースについては、製品の承認情報を事実のみで報じる場合と、当該製品の優位性を強調した記述が含まれる場合とでは判断が分かれる可能性があり、作成段階で監督部門または法務部門の確認を得ることが実務上の予防策となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q37

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Q38 「関連団体」とはどのような団体を指すか

第4 3 未承認薬・適応外薬に関する情報提供

Q(質問)

第4の2に「関連団体における対応」の項があるが、ここでいう「関連団体」とは、どのような団体が対象となるのか。

A(厚生労働省の回答)

各団体に所属する事業者が取り扱う医薬品の特性に差異があることを踏まえ、その差異に応じた業種別団体を念頭に置いたものである。

So what(意味すること): 「関連団体」とは業種別の業界団体(例:医薬品メーカー団体、卸売業者団体等)を指す。各団体が自社会員に合わせたガイドライン対応規則を策定することを想定している。

So why(なぜそう定めるか): 取り扱う医薬品の種類・流通形態が業種によって異なるため、一つの団体規則ですべての事業者の実態を網羅することが困難であるため、業種別対応が求められるため。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

「関連団体」が業種別団体を念頭に置いたものであるというこのQ&Aは、ガイドラインが医薬品製造販売業者の直接規制に加え、業界団体による自主規制の整備を期待していることを示している。各業種団体が傘下会員の実態に合わせた自主規制ガイドラインや規程を策定し、会員企業のコンプライアンス体制整備を側面支援することが想定されている。これにより、ガイドラインが実効的に機能する業界全体のインフラが形成される。

典型的な適用場面として、医薬品製造販売業者の業界団体が、ガイドラインの各規定を会員向けに解説したQ&Aや実務手引きを策定し、中小会員企業が体制整備を進める際の参考資料として提供するケースがある。また、卸売業者の団体、薬局チェーンの団体、ジェネリック医薬品製造業者の団体等、それぞれが取り扱う医薬品の特性に応じた自主規制を策定することが期待されている。業種特有の商慣行や流通形態に即した実務指針は、ガイドラインの文言だけでは対応しきれない個別課題を補完する機能を持つ。

誤りやすい点は、「関連団体が対応するのだから自社での対応は団体任せでよい」と解釈することである。本ガイドラインは医薬品製造販売業者に対して直接適用される行政指導であり、団体の自主規制はあくまでも参考・補完のツールである。団体の規程を遵守していても、ガイドライン本体の要件を満たさなければ行政指導の対象となりうる。また、業種が複数にまたがる企業(例:製造と卸売の両方を担う企業)については、複数の関連団体の規程が適用される可能性があり、それぞれの要件の整合性を個別に確認することが必要となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q38

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